ケーキの切れない非行少年たち

今回は読書感想文を自分なりに書いてみようと思います。宮口幸治さんの「ケーキの切れない非行少年たち」についてです。この本は、軽度知的障害、境界知能を持った子供たちには実は皆さんが想像するよりもこの世界は生きづらくできているので、それが少しでも良くなる社会を作りをしましょうと言うものです。筆者は児童精神科なので彼らに寄り添った目線で書かれています。

 

例えば、隠れた障害の為に授業などで先生に注意されたり、成績が振るわなくなり非行に走った少年がいたとします。その子が少年院に入った時、ひたすらに犯した罪の反省をさせられるらしいです。そうして、その罪の重さをしり適切な社会性を身に付けさせ再発防止に努めるらしいです。しかし、仮にその子がそれを考える力が無かったらどうでしょう。一方的な押しつけになってしまって、より非社会的になるかもしれません。もしそのようなケースの場合、職員がその子の思考力は一般に行っている更生プログラムには届いていないことを認知し、その子のレベルにあったプログラムを組んであげなければ、その子の為にも社会の為にもならないのです。現在の知能レベルを測るテストでは境界付近にいる軽度の子達は素通りで、テストの結果はそうでない子と同じになってしまうそうです。その結果様々なところで問題が生じるのです。そして、その現状にほとんどの当事者たちが気付いていないらしいです。つまり、これらを解決していくためには、先ずは軽度知的障害、境界知能の子達の存在を知り、彼らにとってこの世界は想像よりも生きづらいということを認識して、そこから彼らへの関わり方を学んでいかなければならないのです。

 

上記のようなことがこの本には書いてありました。結論としては今までの悪い常識には囚われず、少しずつやり方を変えていきましょうと言うことでした。最近の教養新書の欄にある本にはありがちな形です。世界が急速に成長している今、各分野の人が横断的に物事を捉えなければならない事は分かります。しかし、いつも思うのですが現実的には何十年、何百年とかかる話のような気がします。自分が無知過ぎるだけかもしれませんが。そして、そのときにはまた新しい問題が発生しているかもしれません。無駄だとか言っているのではなく、単純に自分が生きている世界は壮大で不思議だなと感じます。1つの本で1つのテーマを取り上げてそれの現状、問題点、理想、筆者の解決案を知ることは教養が高まり楽しいです。それに加えて、大人が考える理想と自分が感じている現実のギャップについて考えることもより楽しいです。